2018.12.19
ハドソン河のモスコー
日本では未公開。理由は、映画のなかのモスクワで配給をもらうシーンがオイルショックを思い起こさせるからなんだって。オイルショックがデリケートな出来事だったことを知ったよ。
今回はWOWOWで視聴!
ハドソン河のモスコーの映画情報
原題 | Moscow on the Hudson | ||
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制作年 | 1984年(劇場未公開) | 制作国 | アメリカ |
上映時間 | 115分 | ジャンル | コメディドラマ |
映倫 | - |
監督 | ポール・マザースキー |
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キャスト | ロビン・ウィリアムズ |
以下「ハドソン河のモスコー」の感想・評価・レビューの内容は、ネタバレを含む場合があります。
「ハドソン河のモスコー」をまだご覧になられていない方は、十分にご注意ください。
ハドソン河のモスコーのあらすじ・ストーリー
アメリカと冷戦中のロシア、サーカスの楽団員をするウラジミル(ロビン・ウィリアムズ)は、特に野望もなく、自由のないモスクワで生活していた。
あるとき、サーカス団総出でアメリカへ行くことになり、ウラジミルははじめて活気にあふれるアメリカの地を踏んだ。そして、思い立った
ように突然亡命してしまう。
亡命に手を貸してくれたライオネル(クリーヴァント・デリックス )の家に居候することになり、また助けてくれたひとのひとりルシア(マリア・コンチータ・アロンゾ)とも親しくなり、アメリカでの生活がはじまるが…
ハドソン河のモスコーをみた記録
コメディードラマと言えど、コメディーなんだろうなとか思ってたらぜんぜん違った。
社会派ドラマの分類のようにおもえるんだけどな。
変化を望んでいるわけではなかった男が、突如亡命してアメリカでがんばるストーリー。
正直、がんばってるな〜とは思わないんだよな〜。特にアメリカって国の働くひとたちって。
外国人が知らない土地で知らない文化のなかで、1から生活していくのは、まちがいなくたいへんなことだとおもうんだけど、あたしほら日本人じゃん。
日本人にはぜったいできないような、とゆーか日本人にはないような概念をもってるじゃん外国のフレンドリーだったり、テキトーだったり、明るさだったり。
ロシア人も、あーやってアメリカで生活ができてるのは、日本人…とゆーかあたしには到底無理な図太い生き方が備わっているから、割と容易なんじゃないか?とおもってしまう。
だけど、彼らなりの努力があったのは理解できるよ。ただ、地に溶け込むのもはやいだろうし、図太いだろうから、凄まじい葛藤があったなんて風には見えなかったんだよな〜。
だから、さいしょの勇気は素晴らしかったものの、そのあとはトントン拍子てかんじの、明るく楽しい亡命生活にみえた。
なぜ亡命したのかがどうしてもわからなかったけど、最愛の家族に会えなくなってしまうことをわかっていて、ひとり亡命したウラジミルはやっぱりおかしい。
やらなくては人生が死んでしまうと思えば、たしかに踏み切らなきゃいけなかったことなのかもしれないけど、あーやって家族へ手紙を送り続けるウラジミルの姿は、まったく健気なものではなく、なんで家族置いてきたの?とゆー疑問のみだったな。
しかも、もし仮に、ほんとにアメリカでの生活に困難を感じているのだとしたらなおのこと。
映画のなかで、自由の国アメリカなのにぜんぜん自由じゃないじゃんて、ロシアにいたころは貧乏は俺のものだったけど、ここでは俺のものがなんにもないて漏らしていた。
知らない土地で突き当たった、やるせなく、どうにもならない孤独感みたいなのが沸き起こったことが、あたしも上京したてのころにあったことを思い出したけども、どうしてもそれとは違って、とてもうまくやってるようにみえて、なにが不満なんだろうって疑問だった。
最終的には、勇気を出して一歩踏み出せば変わるよ、挫折もあるし、孤独もあるし、さみしさもあるだろうけど、やらないよりはきっとマシなはずだから、ウラジミルのようにねってことで理解したけど、てんてこ舞いながらもたのしそうにやってるように見えてたからなぁ〜。
なんかネガティブなことばかりでアレだけど、この映画は傑作と言われている素晴らしい映画なんだって。
ロビン・ウィリアムズの芝居がとてつもないんだろうなって方の傑作なら納得なんだけどな。
なんの準備もなく突然家族をおいて亡命した人間が、トントン拍子でできた彼女と別れて悲しくなって、やっぱり故郷に帰りたくなってシクシクして、そりゃそうでしょうよ!っておもうよ〜。
どんな映画だってそうだし、実際にひとり上京してきたころのあたしもそうだし、周りも一度は経験してるあるあるだもんなー。
なんだかいたって普通のことなんだよ。
それよりも気になったのは、ロシアとアメリカの対比だよね。アメリカは自由で明るくてたのしそう、ロシアは寒くて暗くて貧乏で、KGBの目があって窮屈。
当然ながらアメリカのほうがいいに決まってるってのも、けっきょくそれが言いたいのかなともおもった。
どんなひとでも、しあわせになる権利がある。それは親や友だちにだって制限される必要はない。
じぶんの道はじぶんで切り開き、困難も乗り越えてじぶんのおもう自由を掴みとったら、それはいつのまにかしあわせに変わってる。
ほんのすこし勇気を出したら、状況は一変するんだ。
それができる国、アメリカ。
ここだけをとると、素晴らしい映画だとおもう。
ただあたしがひねくれてるいるかもしれなくて、そもそも図太い外国人は、そうやって異国の地で生きていくのはあたしよりは割と容易にできるんだろうとおもってしまって、この映画のことをわるく言っているみたいなのは反省する。
さいごに、ロビン・ウィリアムズはロシア人の役をしているけど、ロシア人が話す英語がどんなもんかとかまったくわからないのでなんの参考にもならないはずだけど、ほんとにロシア人になっていたからすごい。
そして、ロビン・ウィリアムズではなかったら、なんら話題にもならなそうな映画かも、なんておもう。すごい役者なのは、ひねくれ者の映画素人のあたしでもわかる気がする。
マリア・コンチータ・アロンゾ
ウラジミルの恋人役を演じたマリア・コンチータ・アロンゾ。夢を追ってアメリカへきたイタリア人の役。夢のために一時はウラジミルから去って、じぶんだけの道を歩もうとしたけど、ウラジミルのもとへ戻ってきた。
イタリア人にしては濃くてビックリしたけど、とてもかわいらしいひと。ミス・ワールド6位にもなったくらいのすごい経歴を持っていて、モデルや歌手、女優として活躍していたみたい。なんと『デスパレートな妻たち』にもすこしゲスト出演していたみたい。『デスパレートな妻たち』全話みたのに思い出せないくらいのチョイ役なのかも。
飾り気のないキャラクターで、夢を追ってアメリカにきたってのはピッタリで、すごくステキな女性だった。