2019.5.13
パトリオット・デイ
原題:PATRIOTS DAY
2013年に発生したボストンマラソン爆弾テロ事件の実録ドラマ。
名コンビと言われているピーター・バーグ監督とマーク・ウォールバーグ主演で、「ローン・サバイバー」(2014)、「バーニング・オーシャン」(2016)に続いて今回は3作目。2019年には「マイル22」で4作目のタッグ。お互いとっても評価し合っていて、特に監督のマーク・ウォールバーグ愛が強いのだとか。
パトリオット・デイの映画情報
原題 | PATRIOTS DAY | ||
---|---|---|---|
制作年 | 2016年 | 制作国 | アメリカ |
上映時間 | 133分 | ジャンル | ドラマ |
映倫 | PG12 | ||
オフィシャルWeb | http://www.patriotsday.jp/ |
監督 | ピーター・バーグ |
---|---|
キャスト | マーク・ウォールバーグ |
以下「パトリオット・デイ」の感想・評価・レビューの内容は、ネタバレを含む場合があります。
「パトリオット・デイ」をまだご覧になられていない方は、十分にご注意ください。
パトリオット・デイのあらすじ・ストーリー
2013年4月15日。ボストン警察署殺人課の刑事トミー(マーク・ウォルバーグ)は朝からボストンマラソンの警備に駆り出されていた。
この歴史ある大会は、毎年祝日“パトリオット・デイ”に開催され、この日も50万人の観衆で賑わっていた。次々と走者がゴールし最高潮の盛り上がりの最中、トミーの背後で突如大爆発が起こる。歓声は悲鳴に変わり、逃げ惑う人々と折り重なって倒れる負傷者で現場はパニックとなる。到着したFBIのリック(ケヴィン・ベーコン)は散乱した金属片を見て「これはテロだ」と断言、大規模な捜査本部が設置された。やがて監視カメラに映る不審な“黒い帽子の男”と“白い帽子の男”が容疑者として浮上する…。
引用元https://www.sonypictures.jp/he/2217765
パトリオット・デイをみた記録
とても臨場感がある映画だった。おぞましい事件現場の描写は痛々しく、有名なテロ事件のニュースでみるそれだったけど、ボストンマラソンで微笑ましく平和に楽しむ市民たちが、一気に地獄におちる様は超臨場感。
- FBIが犯人の写真を公開してから犯人のタメルランとジョハルが爆弾を持って、警官ショーンを襲うシーンからさらに緊迫感が増した。
- メルセデスを見つけた警官と、犯人ふたりの銃撃戦。どんどん応援の警官がやってくるけど銃撃戦も爆発も増すばかり。
- 「この街をなめんな!」と叫びながら警官は犯人を打ち、「うるせえ!」と叫びながら犯人は発砲して爆弾を投げた。
文字だけだとただのケンカみたい。ほんとにケンカしているみたいな言葉が交わされているんだけど、それはとってもリアリティで、とてつもなくこわいシーン。戦争の一部を切り取ったみたいな印象すらあった。
しかしこれが事実で、あんな風に街中で、もろ住宅街で銃撃戦が起きていたのね。つい数年前の話だよ、信じらんないね。
実話だからよりこわいけども、街で捜索するパトカーに乗った警官たちはなぜみんな単独なんだろう。1000人を超える警官が導入されたらしいけど、こんなにこわい事件において、街をパトカーに乗ってるとはいえ、ひとりでパトロールするなんてちょっとどうかしてる。
異例と言われる逸話がある事件解決だったみたい。犬猿の仲と言われるFBIと警察が協力して解決にいたったこと。よくあるよね、映画とかドラマとか。実際にも本当にあるらしいFBIと地元警察のいろいろ。だけど、今回の事件を担当したFBIのローリエ捜査官は、最初から地域の隅々をよく知る地元警察と協力して捜査をしてた。
さらに、外出禁止令に応じて犯人逮捕までジッと耐えたボストン市民は近年のアメリカでは異例らしい。ボストンはアメリカでももっとも古い歴史がある街のひとつで、地元愛が深いことは有名なんだって。日本だったらどんな地域でもほぼみんながきちんと従うだろうね。
起きた事件は最悪だけど、いろんな奇跡が積み重なって、凶悪なこの事件を乗り越えることができたという映画。きっと、未だ乗り越えられていないひともいるかもしれない。あたしがなにかを祈っても、そのひとたちの心は1ミリも救えないだろうけど、なにか1ミリでも希望を見出して前進する気持ちが生まれてくれてほしい、なんてことを1万キロ離れた知らないひとに思ったりしたよ。
そして、犯人たちはイスラム教徒だったけど、その主犯である兄弟の兄の妻ケイティーの頭の中がまたすごかった。
神と夫、主人ふたりに仕える身。なにがあっても主人に献身すること。従わなければ地獄におちる。あのムスリム女性の考え方(みんながみんなそうではないだろけど)、鳥肌が立ったね。結果としてやったことは人の道から大きく外れて、むしろ悪魔のようなことなんだけど、自分の人生や生活は、自己を捨てたような、自分から尊厳を捨てたような、あの考え方というのはどうやったら生まれて根づいて身に備わっていくんだろ。
愛があれば悪と戦える、愛があれば悪に勝てると言ったトミーの言葉。ひん曲がった形ではあるけど、ケイティーの信仰による考え方でできあがった”愛”が、この事件の敵でもあったわけだ。
信仰心にどれほど強いパワーがあるのか想像もつかないけど、信仰心てのは信仰者を強くする味方でもあって敵でもある、異常な思想を生んでしまう場合があるんだね。