2019.9.11
百合祭
桃谷方子の小説『百合祭』が原作。トリノ国際女性映画祭準グランプリ受賞、フィラデルフィア国際G&L映画祭・グランプリ受賞、ミックスブラジル2003グランプリ受賞など世界各地でグランプリを受賞。
監督は浜野佐知という女性監督で、とりわけピンク映画を製作しているみたい。かなり過激なタイトルの映画が多いけど、女性が監督と聞くととってもみたくなってしまうものだね。
百合祭の映画情報
原題 | |||
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制作年 | 2001年 | 制作国 | 日本 |
上映時間 | 100分 | ジャンル | ドラマ |
映倫 | - | ||
オフィシャルWeb | http://tantansha.main.jp/yurisai.html |
監督 | 浜野佐知 |
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キャスト | 宮野理恵 |
以下「百合祭」の感想・評価・レビューの内容は、ネタバレを含む場合があります。
「百合祭」をまだご覧になられていない方は、十分にご注意ください。
百合祭のあらすじ・ストーリー
宮野理恵(吉行和子)が暮らすのは69歳から91歳までの7人の女性が住む洋館。
ある日81歳の戸塚が亡くなり、空いた部屋に75歳の三好輝治郎(ミッキー・カーチス)が越してきた。唯一の男性である三好はオシャレでプレイボーイな雰囲気。女性たちはすぐに三好の虜になってしまった。
女性たちの猛アタックがはじまるが、あるとき宮野は三好といい雰囲気になり、ふたりは関係を持ってしまう。宮野はその日から何かが変わり、生活がキラキラし出したが、どうやら宮野だけではなく、ほかの女性もキラキラしているようで…。
百合祭をみた記録
はじめて体験する、邦画のなかでもまた特別な世界の映画。偏見がそう思わせているのかもしれないけど、苦手な分野ではなく、これまでみることがなかったジャンルということだよ。
年齢を重ねた女性たちを題材にした映画、いつだかみた「カレンダー・ガールズ」(2003)のようなワイワイ感がある女性たちが出てくるのだけど、少し年齢が上というのと、女性たちの”性”を捉えた、あたしにとっては結構衝撃の多い映画だった。
いちばん若い女性が69歳、上は90代という女性たちが、ひとりの男性を巡って色目つかいまくるまくる。それが結構笑えるというか。
自分の母親以上の年齢の女性が男性に色めき立っているのはそれなりに違和感なのだけど、若干の恥ずかしさも少しあるのだけど、それぞれキャラクターの違う女性たちが、私の男よ!と内心思いつつもバレないようにする感じはかわいくもあって、おもしろくもあって。
特にそういうシチュエーションというのは、みんなが憧れる男性を独り占めしているかのような優越感があって超たのしいのは想像できるし、その優越感をみんなが抱えているというのは滑稽だけど、少女のようでかわいい。
さらにおもしろいのが、独り占めしていると思っていた男性が、実はみんなとも特別な関係だったと知ったあとの切り替えの早さ。
もっと若い年代の女性だったら、和解することなんて簡単にはできないだろうし、いわゆる泥沼な修羅場な光景が浮かぶものだよね。
だけど彼女たちの経験値はその辺の若者とは段違いで、実はみんな穴姉妹(とっても下品な表現だけど)と知ったときの、かなりまずそうな雰囲気のあと、みんなで仲良く踊りはじめるという!これまで多くを経験した彼女たちにとって、もしかしたら新しい生き甲斐かもしれないような色恋だったはずなのに、小さなことは気にしない的な懐の深さを爆発させる。
最年長の北川よしおばあちゃんの「旦那さま、踊りを教えてください」の一言は、さすが最年長の趣あることばだよね
ミニシアター規模の映画ではあるけど、体当たりな女優魂をあの年齢の女優たちから感じるなんて思ってもみなかったというか、吉行和子のベッドシーンに脱帽。しっとりした女優であることを認識させられたシビれるワンシーンだったよ。
ラストシーン、「いやらしいこと」には賛否あるようだけど、どんなにしおらしく品がある女性でも、性は当然ながら持ち合わせていて、楽しさや快楽や愛ぜんぶ含めて、きれいごとにしない人間の本能があるのだというメッセージと捉えて、あたし的には花丸だと思うけどね。
男性がどう思うか想像がつかないけど、年を重ねた女性がみたら爆笑をかっさらう映画だろうね。