2020.1.23
運び屋
原題:The mule
運び屋の映画情報
原題 | The mule | ||
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制作年 | 2018年 | 制作国 | アメリカ |
上映時間 | 116分 | ジャンル | クライムドラマ |
映倫 | G | ||
オフィシャルWeb | http://wwws.warnerbros.co.jp/hakobiyamovie/ |
監督 | クリント・イーストウッド |
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キャスト | クリント・イーストウッド |
以下「運び屋」の感想・評価・レビューの内容は、ネタバレを含む場合があります。
「運び屋」をまだご覧になられていない方は、十分にご注意ください。
運び屋のあらすじ・ストーリー
90歳になるアール・ストーン(クリント・イーストウッド)は家族よりも仕事で生きてきたが、その仕事も失敗して差し押さえられてしまった。
行くところがないように家に帰るも、もう12年口を聞いていない娘や呆れ果てている妻。
ある日、ふと仕事の話が舞い込んだ。運転してモノを運べば金になるという仕事。一回限りと思ってやってみたら、予想以上に金がもらえて割りがいい。車の運転も好きで、昔はよく遠出した。
気ままにドライブしながらモノを届けるだけのドライバー仕事は、結局数回と重ねていった。
ある時、運んでいるモノが気になり積荷を見てしまうが、運んでいるのが薬物だとわかっても、アールは運び屋をやめなかった。
そのうち、アールは誰も成しえなかった量を運び、レイトン(アンディ・ガルシア)率いる麻薬組織の中では腕のいい運び屋”タタ”と呼ばれるまでになっていた。
一方、麻薬取締局(DEA)のコリン・ベイツ(ブラッドリー・クーパー)はシカゴに赴任してきたばかりで鼻息荒く、気合が入っていた。麻薬組織を摘発するために、麻薬組織のひとりを取り込み、情報をもらっていた。凄腕の運び屋タタの話もコリンの元に届いていたが、数ヶ月におよぶ捜査はどれも大きなものではなかった。それでも少しずつアールに近ずいていた。
DEAが徐々に組織に近ずいていることを察した麻薬組織の人間がレイトンを殺し、新たな体制に変わった。これまでレイトンが良しとしてきていたアールの気ままなドライブは新たな体制では受け入れられず、出発到着を決まった時間にするようにと厳しいルールを設けられた。
それでもアールはモノを運んでいたある時、妻メアリー(ダイアン・ウィースト)が重病で倒れる。もう命が残りわずかというタイミングで、アールは投げ出せない任務を中断してメアリーのもとへ戻った。
アールはこれまでのことを謝り、メアリーに愛を伝えた。それを聞いていた娘もアールを許し、家族は絆を取り戻すことができた。その後すぐメアリーは息を引き取り、葬儀を終えた。
すると、モノを運んでいる途中で行方がわからなくなっていたアールを血眼で探していた麻薬組織のやつらが見つけ、早く運転を再開しろと命じた。アールは言われるがまま、目的地へ車を走らせた。
その頃、運び屋タタの情報をキャッチしたコリンたちは、アールが走る車を追っていた。
数台の車が道をふさぎ、アールの車を止めた。アールはそのままコリンたちに逮捕された。
後日、アールの裁判。アールはすべてにおいて有罪を認めた。
運び屋をみた記録
なんのひねりもないタイトル。まさに運び屋だった。
仕事ばかりで家族との時間を大切にしてこなかったアール。品評会で優秀していい感じの農園業をしていたけど12年後に廃業。いくところもなく家族のところへきてみたが相手にされず。長年の放っぽらかしをくらうことになった。そんなところに、モノを運べばいい金になる話が舞い込んでやってみたら割がいい。運転もすきだし、ひとりだし、なにより金になる。見るべきではなかった積荷は麻薬でおったまげたけど、やっぱり金になる。
一度きりと思ったけど気付けばベテラン。年寄りだし、意外と器用で機転のきく頭のよさで、疑われることなくモノを運んだ。
なんでも振り返ったら間違った判断をしてきたな、と思うことばかり。いくつになっても、やり直しができるんだから、いま正そうとすればいいものの、あんな90歳まで振り返らずに家族をかえりみない生活をしていくひともいるし、むしろほとんどそうかもしれない。だからたぶん、こうやって考える機になるのかもしれないけど、やっぱりひとはそうなってみないと考えない生き物だな。いま、未来からやり直しにきたんだと考えてみたらいいのに、でもやっぱりしないんだな。
あたしが高齢になったとき、どういうかんじで生きてるだろう?もしかしたらアールみたいに後悔ばかりなのかもしれない。いまのところ、後悔ばかりしているような予想のほうが簡単だ。
ま、さすがにアールのような失態はさすがにやりすぎだと思うけどね。家族として結果オーライかと思ったけど、いややっぱり父が運び屋で逮捕なんて最後の最後にやっちゃったどころじゃ済まない事態。日本だったら人目のつかないところに総出で引っ越すはめになるはず。このへん解せない。
映画のなか、特段おしゃべりじゃないアールなんだけど、運転しながら歌う曲がアールの心境を表しているようでオシャレだった。単調めのストーリーのなか映える映える、オシャレな演出だ。エンドロールの「老いを迎え入れるな」は、肝に銘じておく。
クリント・イーストウッド
水分不足にしか思えないカサカサの老人なのに、なんでかっこいいんだろうね。いつもまぶしそうな表情だけど、それがまたかっこいい。どっしり構えているのか、もうどうでもいいのか、老人てどっちかだと思っているけど、彼の場合はどちらとも言えない不思議な印象。あたしは彼のオーラみたいなものを感じているのかな。