2019.4.6
風立ちぬ
宮崎駿が月刊模型雑誌『モデルグラフィックス』に連載していた漫画を自らアニメ映画化。実在した人物をモデルに作ったのだそう。
主人公二郎の声は庵野秀明。主題歌は40年も前の荒井由実『ひこうき雲』も話題になってたね〜。
第86回アカデミー賞長編アニメーション賞にノミネート。この年受賞したのは「アナと雪の女王」(2013)だよ。
風立ちぬの映画情報
原題 | |||
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制作年 | 2013年 | 制作国 | 日本 |
上映時間 | 126分 | ジャンル | ドラマ |
映倫 | G | ||
オフィシャルWeb | http://www.ghibli.jp/kazetachinu/ |
監督 | 宮崎駿 |
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キャスト | 庵野秀明 |
以下「風立ちぬ」の感想・評価・レビューの内容は、ネタバレを含む場合があります。
「風立ちぬ」をまだご覧になられていない方は、十分にご注意ください。
風立ちぬのあらすじ・ストーリー
飛行機の設計士になることを夢見ていた二郎(声:庵野秀明)は、大学へ戻る途中に関東大震災に遭い、少女と使用人を助けた。互いに名前をきくことなく、以来それきりで時はたち、二郎は大学を卒業して三菱の会社で飛行機の設計の仕事に就いた。
夢中で飛行機の設計をするが挫折も味わうことになる…。
風立ちぬをみた記録
思っていたものとぜんぜんちがって、かなりおもしろかったよ。戦争の背景に、大きなロマンを持った男の、すこし不思議ですこし皮肉な情熱とロマンスの映画。
久しぶりにスタジオジブリの映画でいいかんじだったよ。
飛行機の設計士になることを夢見ていた二郎は、大学へ戻る途中に関東大震災に遭い、名も知らない少女と使用人を助けた。以来それきりで時はたち、大学を卒業して三菱の会社で飛行機の設計の仕事に就いた。
あるとき、戦闘機の設計にかかるが機体が空中分解し挫折を味わう。ドイツへ出張して日本より遥かに先をいく技術を目の当たりにした。
会社へ戻る途中に立ち寄った避暑地で、偶然にも関東大震災のときに助けた少女に再会した。大人になった少女は菜穂子といい、急速に仲を深め、ふたりは結婚を決めた。
しかし菜穂子は結核の治療が必要で、二郎とは離ればなれにならなくてはならなかった。ふたりはしばらくの間、二郎は仕事、菜穂子は治療という会えない日々を過ごした。
ある日、突然菜穂子は上司の黒川の離れで暮らす二郎のもとを訪れた。ふたりは結婚し、黒川の離れで一日、一日を大切にしながら生活した。
一方で二郎は、寝る間も惜しんで戦闘機の設計を進め、ようやく完成した日、菜穂子は手紙を置いて病院へ戻っていった。菜穂子は病状の悪化を悟り、二郎のもとから消えたよう。その頃、知らぬはずの二郎もなにかを感じ取ったようだった。
どのくらい経ったか、二郎の夢のなか。尊敬するカプローニ伯爵と再会し、飛行機の話をしているところに菜穂子が現れる。菜穂子は二郎に”生きて”と伝え、二郎はうなずいて”ありがとう”と言った。
いわゆる零戦を設計した堀越二郎をモデルにした宮崎駿映画。宮崎駿のアニメだからって、この映画はむつかしいんだろうなとおもって構えていたけど、意外とラブロマンス要素強めで、むしろちょっとキュンとさせられてしまった。
とはいえ、恋愛要素はある種のスパイスだとおもうけど、零戦を作った堀越二郎がこんな人間だったとか、なにかを作るひとの情熱とか、昔の貧しい日本とか、そんなことを伝えたい映画ではなく。
戦争に直接関わってくる重要な戦闘機を開発している組織にもかかわらず、意外にもそこに生々しい戦争のエピソードはあまりない。戦闘機という殺人兵器を作ることに対する考えや心理は描かれず、あくまでもある飛行機を愛した堀越二郎という男の情熱だけに焦点が注がれていて、生々しい戦争の描写がない分、堀越二郎が戦争をどう考えているのかとかはわからない。
だからきっとそれは問題じゃないってことだ。よしとすることは当然ないけど、どんな映画でも何ででも戦争はいけないってことは訴えてる。この映画ではそんなことは一切言わない。
ただ、いちばん最後の二郎の夢のなかのシーン。カプローニ伯爵が零戦を褒めまくり、二郎もそんな飛行機を作れることを夢見てきたはずなのに、”零戦は一機も戻ってこなかった”という皮肉みたいなものが、この映画のすべてかとおもった。
悲しいとか、苦しいとか、そうゆ感情は出てこない。戦争を舞台としているのに、まったく違う観点で描かれた戦争映画みたいな。
だけどすごく、世界の平和を願いたくなるのね。