2018.5.9
肉体の門(1988)
肉体の門は過去に4作品も作られてるんだって。それだけ原作がおもしろくて、みんなが映画化したくなる題材なんだね。ちなみに最初の肉体の門は1948年。ふっるー!昔の映画だから映倫の審査がないけども、子どもはみたらいけないよ。教養と道徳を得てからみよう。
肉体の門(1988)の映画情報
原題 | |||
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制作年 | 1988年 | 制作国 | 日本 |
上映時間 | 119分 | ジャンル | ドラマ |
映倫 | G |
監督 | 五社英雄 |
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キャスト | かたせ梨乃 |
以下「肉体の門(1988)」の感想・評価・レビューの内容は、ネタバレを含む場合があります。
「肉体の門(1988)」をまだご覧になられていない方は、十分にご注意ください。
肉体の門(1988)のあらすじ・ストーリー
戦後の有楽町で体を売って生きる小政(かたせ梨乃)たち関東一家。住処にしていたのは1トン爆弾という不発弾が眠ったままの廃墟で、お金を貯めて廃墟をダンスホールにするという夢のためにコツコツとがんばっていた。
ある日、関東一家の廃墟に負傷した伊吹新太郎(渡瀬恒彦)が迷い込んできた。小政たちは伊吹を助けたが、伊吹が現れたことで有楽町を仕切っていた袴田組ともややこしいことになっていく…。
肉体の門(1988)をみた記録
大平洋戦争末期、日本列島の九十二の都市が、米軍の空襲を受け、百五十万人の死傷者を出した。
なかでも首都東京は、百三十回におよぶ無差別絨毯爆撃により市街地の八割を焼失し死者十万人、負傷者十二万人のほか三百万人の人々が家を失い、焼土の上で敗戦の日を迎えた。
大都会を背景にこのメッセージが流れてはじまる。
高層ビルが立ち並ぶ大都会も、ほんのすこし前は親や兄弟、友だちを亡くした孤独な人々が米軍溢れる日本で生きるためにこんな時代を過ごした、という対峙なんだろう。
生き残った若い女たちは、それぞれチームになって売春(いわゆるパンパン)して金を稼いだ時代。皮肉にも日本に爆弾を落としたアメリカ人たちを相手に。
敗戦した国のなかで、信じるべきは同じ国人間かと思いきや、それはまたちがうみたいで。縄張り争も起こるし、仲間割れも起こる。死にものぐるいで生きてるから、日本人同士手を取り合おうなんてことはしないらしい。むしろビジネスチャンスで、でっかい山を掴んでやるという、高い志を持った人が多く、とってもエネルギーに溢れてた。
あれだけ志が高く、一心不乱に夢を追いかけた女ですら、夢半ばで死ぬ羽目になるんだから、夢を叶えることというのは特にこの時代は困難だったようで。逆に、夢があるか知らないけども、おとなしく平凡にふつうに生きていたほうが大成せずとも、死ぬこともない。夢を叶えるには死んじゃうくらいの犠牲がともなうという・・・残酷な時代だったんだね。
主に夢を追う女と男のストーリーだったのだけど、小政が伊吹に惚れていたにもかかわらず、自制していたことはどうしてだったのだろう。夢の邪魔になるから?関東一家のメンツ?みんなが伊吹のことすきだから?伊吹に「俺についてこい」と言われたのに、突っぱねたのはなんだったんだろう。素直になれない女のいじらしいところ?
だけど結果、ふたりは想い合っていたとても美しい愛・・・という感じで終わる。お互いに惚れてるのはだれがみても明らかだし、まちがいなくくっつくべき関係だったのに。ストレートに生きているようで、実は照れ屋で乙女らしい、というのが味なのかな。大人になったらこの味も理解できるのかな。
そして、キャストがおもしろかった。山咲千里もいたし、松居一代もいた。他にも知っている顔ぶれがチラホラ。こういうのがおもしろいよね〜、昔の映画は。