2018.5.11
ムーンライト
原題:Moonlight
第89年アカデミー賞作品賞、助演男優賞、脚色賞を受賞。作品賞発表のときに「ラ・ラ・ランド」と間違った発表がされたハプニングで有名!
その他、ゴールデングローブ賞などの映画賞でも受賞してるよ。
ムーンライトの映画情報
原題 | Moonlight | ||
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制作年 | 2016年 | 制作国 | アメリカ |
上映時間 | 111分 | ジャンル | ドラマ |
映倫 | G | ||
オフィシャルWeb | http://moonlight-movie.jp/ |
監督 | バリー・ジェンキンズ |
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キャスト | トレヴァンテ・ローズ |
以下「ムーンライト」の感想・評価・レビューの内容は、ネタバレを含む場合があります。
「ムーンライト」をまだご覧になられていない方は、十分にご注意ください。
ムーンライトのあらすじ・ストーリー
マイアミに暮らすシャロンの半生を描く。
三章に分かれ、幼きリトル(アレックス・ヒバート)と呼ばれていたころ。フアンやテレサに出会い、ひとに頼ることを教えてもらった。
学生となり、いじめやヤク中の母に挟まれ、なんの希望もないシャロン(アシュトン・サンダーズ)のころ。
大人になって、フアンと同じ道を行き、ようやく母との絆を取り戻したブラック(トレヴァンテ・ローズ)と呼ばれるころを描く。
ムーンライトをみた記録
アカデミー賞作品賞を受賞するくらいなのだから、どんな映画なんだろうと予告だけはチェックした。
蓋を開けたら、愛の映画だった。
ひとりの少年シャロンの半生を描いた人間ドラマ。
いじめ、貧困、親子、同性愛。多くを語らず、本音を語らず、静かに生きているシャロンが切なくてもどかしい。
いじめを受けてどう考えているのか、貧困生活を嘆いているのか、性について気づいているのか、描写しているようでしていなく、むしろ悟ってくれ的な。
唯一母親への怒りと愛と入り混じった複雑な心境だけはうかがい知ることができたけど、それを除いてはなにを考えているのかがまったくわからず、逆にそこに惹かれた。
まさかの純愛にかなりおったまげたけど、ひとは愛なしで生きていけず、子どものころに一度だけかんじたしあわせを、ずっと人生の糧にして生きていたに違いない。
いつかまたあいつい会いたい、なんてこともきっと考えていなかったんじゃないかな。忘れるものなら忘れたい、だけど忘れられない。だけど、小さくじぶんの最高のしあわせの記憶として、箱にしまって大切にしていたんだろう。
特にあの環境でゲイであることが知られたら、もっとひどい目にあってただろう。それよりも、言う必要がなかったか。じぶんがだれをすきかなんて、わざわざ他人に知らせる必要はない。じぶんだけが心に持っておけばいい。
あたしはすぐに伝えたくなるし、表現したくなるし、知ってほしくなる。エゴの塊だ。
シャロンのように、つかの間の愛を一生の愛として抱いておくことができない。なくなればほしくなるし、あったらわめいて離さないし。
人間のエゴを捨てて、ひとを愛することができるシャロンがうらやましい。
同性愛者はもしかしたら、こうゆー密かに想う恋愛をしているのかもなー。そう考えたら、異性愛者と同性愛者ってやっぱりだいぶちがうんだな。
子どもじゃないんだから、わざわざ誰かに言う必要ないもんな。じぶんのなかにあればいいものだもんな。
共感してほしいとか、聞いてほしいとか、そうおもうことすら諦めたのだとしたら、とてつもなくさみしいことに思えるけど、どうあれ彼の愛は本物。その事実さえあればほかは関係ない。
映画の放送後にW座の招待状でも話していたけど、余韻がいい。厚かましく演出せず、きれいなままエンディングを迎える。まさに、余韻が残る。