2021.4.17
学校
1993年から2000年まで全4作のシリーズ。
あまり知られていなかった夜間学校が、この映画で世間に知られるようになったんだって。2018年のデータだと、夜間学校へ通う生徒は1660人だそうで、年々減りつつある。
学校の映画情報
原題 | |||
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制作年 | 1993年 | 制作国 | 日本 |
上映時間 | 128分 | ジャンル | ドラマ |
映倫 | G | ||
オフィシャルWeb | https://www.shochiku.co.jp/cinema/database/04391/ |
監督 | 山田洋次 |
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キャスト | 西田敏行 |
以下「学校」の感想・評価・レビューの内容は、ネタバレを含む場合があります。
「学校」をまだご覧になられていない方は、十分にご注意ください。
学校のあらすじ・ストーリー
下町の一角にある夜間中学の教師・黒井(西田敏行)は、卒業式も近づいたある日、卒業記念文集のための作文の授業を行う。原稿用紙にそれぞれの思いを綴る様々な職業、年齢の生徒たちの横顔を見ながら、黒井は彼らとの思い出を振り返る。孫もいる年になって入学してきた在日韓国人の女性・オモニ(新屋英子)。髪の毛を染めたツッパリ少女・みどり(裕木奈江)。昼間は肉体労働に励む少年・カズ(萩原聖人)。父は中国人、母は日本人で五年前に中国から移住してきた青年・張(翁華栄)。自閉症で登校拒否児だったえり子(中江有里)……。やがて給食の時間に、クラスの一員・イノさん(田中邦衛)が死んだという悲しい知らせが届く。突然の訃報に悲しむ黒井と生徒たちは、食後のホームルームの時間、イノさんの思い出を語り始める。不幸な生い立ちとその後の苦労、田島先生(竹下景子)への恋心。そして突然病に倒れ、故郷の山形へ帰ったきり帰らぬ人となったこと。イノさんの人生を語り合ううち、いつしか黒井と生徒たちは人間の幸福について話し合うようになっていった。生徒と先生が汗を流して語り合う、これこそ授業だと確信する黒井先生に応えるかのように、えり子が、自分も夜間学校の先生になる、そしてこの場所に戻ってくる、と決意を語る。外はいつしか雪になっていた。
学校をみた記録
字が書けなかったり、義務教育をまともに終えてなかったり、外国からきていたり、教育を必要としている人たちが集まる場所が夜間学校。多くは自らが希望して学校へ来ているから勉強への意欲がぜんぜんちがうし、多くが大人だからドラマチック。生徒が卒業を迎える黒井先生は、生徒たちとのエピソードを振り返る。
いわゆる不良娘や外国人、教育を受けてこなかったおじさんまでいろいろ。みんなハンデを持っているかのように問題を抱えながら、それぞれにドラマを持って生きている。問題はそう簡単に解決できるものではないけど、最低限の教育があれば世界は変わる。彼らにとってはワンランクもツーランクも上の話だろうけど、いたってふつうの教育で、そのふつうの教育がないばかりに、大きな足枷になってしまっている人たちを、正義とか慈善とか、胡散臭い意識で手を差し伸べようとするようなものではなく、平等に与えられるべき教育を分け隔てなく与えようとする教育者の手本がここにある。
同年代とは遅れて教育を知った夜間学校の生徒たちは、黒井先生から教育と幸福を教えてもらう。あったかすぎて、厳しい寒さがあった時代の真冬の荒川区の雪景色がぜんぜん冷たく感じなかった。
それにしても、たった30年前で56歳があんなにおばあちゃんとはおどろくな〜。オモニ(新屋英子)はあたしの母親より若いのにおばあちゃんだった。大人はどんどん若くいられるようになってきたのに、なぜ子どもは幼稚化しているのにマセてきているのだろう。
田中邦衛は2021年3月、新屋英子は2016年にそれぞれ逝去された。