2019.9.18
ワールド・オブ・ライズ
ワールド・オブ・ライズの映画情報
原題 | Body of Lies | ||
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制作年 | 2008年 | 制作国 | アメリカ |
上映時間 | 128分 | ジャンル | アクションサスペンス |
映倫 | PG12 |
監督 | リドリー・スコット |
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キャスト | レオナルド・ディカプリオ |
以下「ワールド・オブ・ライズ」の感想・評価・レビューの内容は、ネタバレを含む場合があります。
「ワールド・オブ・ライズ」をまだご覧になられていない方は、十分にご注意ください。
ワールド・オブ・ライズのあらすじ・ストーリー
アル・サリーム率いるテロ組織を追うCIAのロジャー・フェリス(レオナルド・ディカプリオ)は、ワシントンD.C.の上司のエド・ホフマン(ラッセル・クロウ)から指示を受けて任務にあたっていた。
あるとき、フェリスは手がかりをもとにヨルダンの首都アンマンへ向かい、ヨルダン情報局のハニ・サラーム(マーク・ストロング)に協力を求めた。ハニは、敵味方が不明確な環境で信頼関係を最重要とし、フェリスの対応に信頼を置いていたが、傲慢なホフマンの勝手な作戦によって信頼を欠くことになり国外追放となってしまう。
しかたなく国を出るフェリスだったが、その前に狂犬病治療のために寄った病院で知り合うアイシャ(ゴルシフテ・ファラハニ)に一目惚れし、食事にも出かけ仲を深めていった。
ハニの協力を得られなくなったフェリスとホフマンは、アル・サリームの居所をつかむために、偽のテロ組織をでっちあげる作戦に出た。新たなテロ組織ができれば、アル・サリーム側からコンタクトをしてくると踏んだため。
しかし、偽のテロ組織を作り、一般人の建築家であるサディキを組織のトップに仕立て上げたはいいが、サディキがアル・サリームの組織に殺されてしまう。
さらに、サディキを殺す前に得た情報からアル・サリームたちはフェリスがCIAであることを知られてしまった。
一方、アイシャが拉致され、フェリスは助けを仰ぐためにハニに相談するも断られる。ホフマンと協力してアイシャを助けに向かうが、フェリスも拉致される。アル・サリームの前に連れていかれ拷問を受け、まもなく殺されるというところで、ハニが率いた軍たちが間一髪で助けられた。
ハニがアイシャを拉致したように見せかけ、アル・サリームの居場所までフェリスを拉致させるよう仕向け、前々から潜入させておいた部下からアル・サリームの居所を突き止め、ハニはアル・サリームを捕獲することにいたったのだった。
フェリスはホフマンに引き止められるがCIAを辞め、ひとりアイシャのもとへ向かったのだった。
ワールド・オブ・ライズをみた記録
レオナルド・ディカプリオとラッセル・クロウの共演。芝居のイロハも知らないけど、びっくりするくらい落ち着いて見ていられる、なにこれ。
話はむつかしいようでそうでもなく、いや5回くらいは巻き戻して理解しながら進んだかんじ。
彼らの役者っぷりよりも驚いたのは、命がけで敵地で暮らしながら諜報活動しているロジャー・フェリスみたいな人間がいること。戦争を起こすも止めるも、国と国の紛争に関わるのはすべて人間で、指示を出しているひとたちの下にはフェリスのように駆けずり回っている現場の人間がいることは理解できる。
ここまでハードワーク(”ハード”な割になんか重さがないね)をしているとは思いもよらなかった。いわゆる公務員なわけだけど、月給500万くらいもらっていないとおかしいくらいの仕事をしている。国のことばを話し、飛べと言われればまたちがう国に飛び、敵が味方かわからないようなひとたちと仕事をする。なにその仕事、映画の世界じゃん。でも映画になる元があるわけだから、実際に諜報している組織があって、そこに属して汗と血で仕事をしているひとたちがいるんだ。SFよりも非日常的かもしれない。
そしてもうひとつ、CIAが凶悪なテロ組織のトップをあぶり出すために偽のテロ組織をでっち上げ、濡れ衣を着せられた善良な人間をポイ捨てにすることだ。偽のテロ組織を作ることだってびっくりすることだけど、ベン・アフラック監督・主演の「アルゴ」(2012)でみた1979年のイラン革命の最中にアメリカ大使館員6人を映画撮影のロケハンに扮して脱出させた実際のCIAの仕事を思い出すと、たしかに一般人には考えられないような、まさに映画の世界のような作戦が現実に行われているのだろう、と信じられないけどしかたなく納得させてる。
が、偽のテロ組織を作ったまではいいが、その主犯格に仕立てられた善良な人間を見捨てるなんてのとを本当にしているのか。サディキが新たな組織を作ったとアリ・サラームが知ってコンタクトを取ってくれば嘘だということはバレることは推測できて、なぜ保護しないかが理解不能すぎる。そんな人権尊重のない、まるで動物実験みたいに扱われる人間がいていいのか。
さすがのフェリスもサディキを不憫に思ってか、保護を訴えたがホフマンはお人好しなことはしていられないと。お人好しではなく、道徳だろうが。ホフマンは、みているのは組織や地域、国なんかではなく世界だと言っていて、たしかにあたしには考えられないようなものを動かしているのだとは思うけど、そんなに手間をかけずとも助けられた命のはずだから腹が立つ。
きれい事が通用しない世界に生きているひとたちの仕事や気持ちはまったく理解できないけど、とにかくこんな仕事で生活をして、人生を生きているひとたちがいることに驚くばかり。誰かがやらなきゃいけないことだろうけど、こう考えているあたしにはぜったいにできない仕事なんだろうな。