2020.3.19
ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密
「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」のライアン・ジョンソン監督が手掛けたオリジナル脚本。
第92回アカデミー賞脚本賞にノミネート。その他いくつかの映画賞でノミネート。
ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密の映画情報
原題 | Knives Out | ||
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制作年 | 2019年 | 制作国 | アメリカ |
上映時間 | 131分 | ジャンル | コメディサスペンス |
映倫 | G | ||
オフィシャルWeb | https://longride.jp/knivesout-movie/ |
監督 | ライアン・ジョンソン |
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キャスト | ダニエル・クレイグ |
以下「ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密」の感想・評価・レビューの内容は、ネタバレを含む場合があります。
「ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密」をまだご覧になられていない方は、十分にご注意ください。
ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密のあらすじ・ストーリー
大成功し大富豪のミステリー作家ハーラン・スロンビー(クリストファー・プラマー)の85歳の誕生日。彼の屋敷に集まった親族たちが、お祝いをしていた。
しかし翌日、ハーランは遺体となって発見される。誕生日パーティーに参加していたのは、ハーランの長女リンダ(ジェイミー・リー・カーティス)と夫リチャード(ドン・ジョンソン)、息子ランサム(クリス・エヴァンス)一家と、次男ウォルト(マイケル・シャノン)と妻ドナ(リキ・リンドホーム)、息子ジェイコブ(ジェイデン・マーテル)一家と、ハーランの亡き長男ニールの妻ジョニ(トニ・コレット)、娘メグ(キャサリン・ラングフォード)親子と、ハーランの母ナナ(K・カラン)、家政婦フラン(エディ・パターソン)、ハーラン専属の看護師マルタ(アナ・デ・アルマス)だった。
事件から一週間が経ち、捜査が開始されると、匿名で捜査依頼があったと名探偵ブノワ・ブラン(ダニエル・クレイグ)も刑事と一緒に捜査に加わった。まずは親族からの聞き取りがはじまったが、それぞれ真実と嘘が入り混じり推理は難航を極めた。そこで、嘘をつくと吐いてしまうという特性を持ったハーランの看護師マルタに真実か嘘かを確認した。
実は、マルタはハーランの最期を知る唯一の人物だった。誕生日パーティーの夜、いつものようにマルタはハーランを部屋に連れていき、薬を投与するが、その夜マルタはハーランに投与するはずの薬を間違えてしまう。投与したのはモルヒネで、致死量を超える量を投与してしまったと気づく。パニックになるマルタに、ハーランは自らマルタを守るためのアリバイ作りを考え、マルタに指示した。そして、ハーランは自ら命を断ったのだった。
そうとはブノワは事件の真相を追った。
翌日、一族が集まり、そこではハーランの残した遺言書が開封された。遺言の内容は、全財産を親族ではないマルタに遺贈するというものだった。一族みんながマルタを責め立てるなか、その場から逃げ出すためにランサムが手を引き、マルタを連れ出した。
マルタはランサムにすべてを話すと、ランサムは話を信じ、財産がマルタにわたったら分け前をもらう約束で味方になってくれた。
しかし、翌日マルタのもとに、マルタのやったことを知っているかのような脅迫状が届く。さらに住所が指定されていたため、その場へ向かうと家政婦フランがモルヒネを投与され、危険な状態で縛られていた。マルタはフランを助けると自分が逮捕されてしまうかもしれない瀬戸際にも、フランを助けることを選び、救急車を呼んだ。
マルタはすべてをブノワに話し、一族にすべてを話すことを決めた。屋敷に一族を集め、真実を話そうとしたが、何かに気づいたブノワに止められた。ブノワは事件の真相のさらに真相に気づき、一族は省き、マルタとランサムと三人になってランサムに問いただした。
ランサムは、誕生日パーティーの夜、マルタに全財産を遺贈することをハーランから聞かされ激昂。マルタが毎晩投与する薬をモルヒネに入れ替え、マルタがハーランを殺害するように仕向けた。その後ハーランは自殺だと報じられると、ブノワが殺人事件と推理しマルタが逮捕されることを望んで、匿名でブノワに依頼をしたのだった。
ランサムは逮捕され、マルタは財産を手にした。ブノワは屋敷を後にするのだった。
ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密をみた記録
“この映画はみておくべき!”的な特集記事をみて臨んだけど、残念ながら大いに期待外れのサスペンスだった。構成は三部に分かれているような展開で、真実を解き明かすストーリーではあるけど、ストーリーの最終地点かと思ったことが早々に明かされたり、目的が二転三転したり、斬新な脚本であることは間違いなく、みている人間を休ませない感じがある。
考えられた構成ではあるものの、なぜか軽い。おもしろくないとは思わないけど、現実的じゃない人間たちに拍子抜けしてしまうというか、ファンタジーすら感じるというか。
出だしはワクワクしたけれど、“ウソをつくと嘔吐してしまう”なんていう、ファンタジーしか考えられない設定から、危険なにおいがプンプンしてきて、そのまま現実的ではないことばかりで、名探偵の名推理と言っていいのかわからない探偵ブノワ・ブランの鋭い観察眼で解決にいたる。
ファンタジーコメディとして見るのであればちょっとは楽しめると思うけど、真剣にサスペンスとして見ようものなら、途中途中にブーブー言いたくなるような映画だ。
これは関係ないことだけど、祖父が死んで、全財産が他人であるおかかえの看護師に遺贈されるのは、どんなにバカなやつでもかわいそうだし、じぶんだったら狂ってしまうだろうな。遺言だから遺留分もないのかな、遺留分があったとしても許せないだろうな。そもそも、バカ野郎に育てた責任がハーラン・スロンビー自身にもあるのだし、その責任を死後に一切残さず、自分たちで生きる力を身に付けられるように、と突き放すのは、他人のあたしですら「今さらそれはひどいよ〜」と言いたくなる。だって看護師マルタちゃんだって、とんでもない大きな財産を手にして、どう変わっちゃうかわからないしね。
クリス・エヴァンス
亡くなったハーラン・スロンビーが手をやいてきた問題児の孫ランサムを演じたクリス・エヴァンス。
キャプテン・アメリカの印象が強いクリス・エヴァンスがどんなバカ息子を演じるのかと思いきや。やっぱり彼はキャプテン・アメリカあっての役者という印象がぬぐいきれない。ザ・アメリカン的な役者は、日本人のあたしからすると、どんなところでも使えそうな気がしてならなかったけど、逆にこの手のハンサムは使い勝手がよくないのか。
というか、悪いやつをやってほしくない願望が邪魔をしているのか、素直に性悪ランサムをみることができなかったのかも。今回のランサム役はちょっと残念だったな。