2022.8.11
ザ・インタープリター
監督は「追憶」(1973)や「トッツィー」(1982)、「愛と哀しみの果て」(1985)のシドニー・ポラック。シドニー・ポラックは2008年に亡くなっていて、監督としては本作が最後となった。
ザ・インタープリターの映画情報
原題 | The Interpreter | ||
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制作年 | 2005年 | 制作国 | アメリカ |
上映時間 | 129分 | ジャンル | サスペンスドラマ |
映倫 | - |
監督 | シドニー・ポラック |
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キャスト | ニコール・キッドマン |
以下「ザ・インタープリター」の感想・評価・レビューの内容は、ネタバレを含む場合があります。
「ザ・インタープリター」をまだご覧になられていない方は、十分にご注意ください。
ザ・インタープリターのあらすじ・ストーリー
アフリカのマトボ共和国。独裁的な大統領ズワーニが治めるこの国では、民主化を目指す多くの活動家の命が無惨に奪われていた。マトボに生まれた女性シルヴィア・ブルームは、現地のクー語の通訳として5年前からニューヨークの国連本部で働いていた。ある日、彼女はズワーニ暗殺計画にまつわる会話を偶然耳にする。すぐさま当局に通報したシルヴィアだったが、以来彼女の身辺では不穏な動きがつきまとう。彼女を守るためトビン・ケラーや女性捜査官ウッズらシークレット・サービスのメンバーが送り込まれる。しかしケラーはすぐに、シルヴィアが何か嘘をついているとの直感を抱くようになり、彼女への疑念を強めていくのだが…。
ザ・インタープリターをみた記録
展開が二転三転、後半につれてどんどんおもしろくなる社会派ドラマサスペンス。無惨に打ち砕かれる平和をどう解決に導いていけばいいか、ほとんどの人間が願っていることなのに実現しない世の中。独裁者、独裁者に対抗する武力、頼りない外交、平和への道が遠すぎる残酷な社会。ここにシルヴィアが信じた通訳者としての言葉の力がどう意味を成していくか、がテーマなのだろうけど、それほど言葉の力が発揮されていなかったのは気のせいか。
紛争で家族を亡くした通訳者シルヴィアがある日、殺人計画についての会話を聞いてしまったことから命を狙われるようになり、シークレットサービスのケラーたちが警護にあたる。がシルヴィアがいまいち何かを隠してる。実はーー
後半に向かうと通訳者である意味がなくなってきて、意外な展開に進む。いっとき、シルヴィアとケラーのロマンスを匂わせる雰囲気を挟むのがイマイチだけども、予想していなかったシルヴィアの真意はなかなかおもしろい。
社会派ドラマとしての鋭さは乏しいけれど、サスペンスとしてはたっぷりたのしめると思う。なにより、シルヴィアが通訳として働くのが『国連』であること。世界において国連に対する期待が薄れていっている今日ではあるけれど、まさに皮肉かと思うような無力さを感じる展開でもあった。シルヴィアが何度も国連を信じているって言っていたもんね。
平和じゃない国や社会というのは、みんなが主張し合って統制とれなくなっている状態でしょう?シンプル言い方をすれば。そんな混沌さを表していた映画でした。
強烈に社会の闇にメスを入れた映画ではないから、小難しいことなんてひとつもなく、あたしですら理解できるレベルの『社会派』だから安心してください。
人は愛する者を失うと復讐を望む 時には神にさえ
生命を救えば悲しみに勝てる
救わないと遺族は生涯喪に服さねばならない
この世の不条理を受け入れて生命を助ければー悲しみから解放される
この言葉が印象的だったな。
ニコール・キッドマンとショーン・ペンのダブル主演。妻を亡くし不条理を受け入れられない、ショーン・ペンのなんとも言えない表情はかなり印象的。男らしいというか、内に秘める闇みたいなものを全力で表現していて、さすがの存在感。